インターネットによる仕組みの変化

地方の組合に入っていない古書店に並んでいる珍しい古本を買い取って、地元の市場に出す業者がいます。それを落札した業者は、今度はその古本を東京の市場に出します。そして、そこで買った業者は、最後に大市に出品します。このようにして、古本はあるべきところに納まっていきました。かつてはこうした古書流通のシステムが機能していましたが、最近ではだいぶ様変わりしています。十年前までは、古書の相場では市場での取り引き価格が絶対的な存在でした。そのほかでは、有力書店の古書目録が参考にされた程度です。ところがいまでは、「ヤフオク!」をはじめとするネ ットオークションや「日本の古本屋」などの古書検索サイトでの価格が、一般ユーザ ーの相場感を形成するようになりました。そのため古書店の間でも、市場の値段と「日本の古本 屋」の値段が、古書の二大相場として認識されるようになっています。 インターネットのサイトは誰にでも閲覧可能な便利なツールです。しかしだからといって、古書 店の側がそうしたネット価格を相場だとして、ただまねすることには、さまざまな問題があります。 古本の価値を決める要素は多岐にわたりますが、その本がもつ揺るぎない価値に見合った値段と いうのは、確実に存在します。ネットでの相場が幅を利かせることによって、それが見えなくなっ てしまうことを、私は何より危倶しています。